一生に一度でいいからイギリスに行きたい。お姫様のような旅がしてみたいわ
典型的な「プライドが高すぎるめんどくさい年寄り」な祖母が発した一言がきっかけで始まったロンドンに留学経験のある筆者と祖母姫のイギリス旅行。
果たして、彼女は祖母姫にご満足いただき、無事に日本に帰国できるのか!?
祖母姫、ロンドンへ行く!
あらすじ
祖母と孫娘の、笑って泣ける英国珍道中!!
正月の親戚の集まりで英国留学の思い出話を披露した孫娘(著者)に、
祖母が「一度でいいからロンドンに行きたい、お姫様のような旅をしたい」
と告げたことから、一族総出で支援する5泊7日の豪華イギリス旅行が決定!
だが、そもそも著者が留学で培ったのは「行き当たりばったり体力勝負の低コスト海外滞在」ノウハウで、高齢の祖母をお姫様のようにもてなす旅とは真逆のスキルだ。
資金面こそ親族の全面フォローがあるが、慣れないツアコン(秘書)役を任命された孫娘の心には不安しかない。
しかし、いざ現地に到着してみれば……大英博物館、ロンドン塔、ハロッズにフォートナム&メイソン、ロンドン三越にオリエント急行、5つ星ホテルのおもてなし、そして憧れのアフタヌーンティー……初めての祖母とのふたり旅は、楽しみもトラブルも山盛りで毎日が刺激的だ。
果たして著者=《秘書孫》は、強くてキュートな《祖母姫》を満足させることができるのか?
頑固で優雅な祖母姫の名言続出! 底抜けにおもしろく、やがてホロリとする――
著者がまだ「コムスメ」だった頃の、「自己肯定感」にまつわる極上エッセイ!!
私が大切にしたい祖母姫の金言
もっと綺麗になれる、もっと上手になれる、もっと賢くなれる。自分を信じて努力して、その結果生まれるのが、自信よ。
努力しても実るとは限らない。と諦めモードの秘書孫に祖母姫が放った一言。
最初から諦めているから何も変わらないと厳しい言葉を重ねます。
しかしそれは、祖母姫が100努力して、1か2になるようにしてきたという自信からくるもの。
なにかに全力で努力した人の言葉はすてきです。
必要がないと思うんなら、せんでよろし
旅行中しっかり化粧をして、そのつど化粧直しや髪のセットをきちんとやっていた祖母姫。
秘書孫は自分には無理だと言い、それに対して祖母姫はこの言葉を放ちます。
努力するようにと言っていたのに、と不満顔の秘書孫ですが、そこにはある理由がありました。
(詳しくは感想の中で述べます。)
周りがしてるからする。ではなく、自分の意思で努力はすべきなのだと改めて思いました。
謙虚と卑下は違うものなの。自信がないから、自分のことをつまらないものみたいに言って、相手に見くびってもらって楽しようとするのはやめなさい。それは卑下。とてもみっともないものよ
上記の言葉の後に、自信が足りないと言い、卑下と謙虚の違いについて話してくれました。
自己肯定感の低い秘書孫と自己肯定感の高い祖母姫の違いが、「謙虚と卑下の違い」に現れているような気がします。
謙虚と卑下を履き違えていた自分が恥ずかしくなりました。
今、祖母姫の金言に出会えてよかったです。
祖母姫に関わってくれた人々の金言
大切なのは、お祖母様には何ができないかではなく、何をご自身でできるかを見極めることだと思います。できないことを数え上げたり、時間をかければできるのにできないと早急に決めつけて手を出したりするのは、結局、お相手の誇りを傷つけることに繋がりますから
行きの飛行機で、絶妙なタイミングで手助けをしてくれるCAさんの言葉。
これからの旅行が不安だという秘書孫に対して、どういう心構えでいればいいのかを教えてくれました。
この言葉は、私がこれから祖父母や両親などの手助けをするさいにも必要な心構えだと思います。
少子高齢社会に生きる私たちが心の片隅にでも留めておくべき言葉です。
友情、敬意、思慕、あるいは……ときに強い敵意すら、人と人を強く結びつけるものです。恋愛も、そうした要素のひとつに過ぎません。僕は、そう考えています。
ソウルメイトとも呼べる男友達の話をしたときに、祖母姫と秘書孫のバトラー(世話役)であるティムから言われた言葉。
男女平等と言いながら、男女が2人でいると恋人か夫婦かと言われ、何事も恋愛を絡められることに嫌気がさしていた秘書孫。
彼のこの言葉に救われます。
私自身も、一時期は結婚や恋愛について言われていました。
日本って男女=恋愛のような考え方がいまだに残っていて、生きにくいですよね。
ティムの言葉に救われる人も多いと思います。
感想
本書を読む前、祖母姫という自由奔放なおばあちゃんが1人でロンドン旅をする物語だと思っていました。
全然違いました!
そもそも本書は小説ではなく、実話…エッセイなのです。
著者の筆力のおかげで楽しそうな旅行に思えますが、実際はもっと大変だったのでしょう。
それでも、バッド・ガール(とホテルマン達から呼ばれていました)は祖母姫の要望や願いを叶えるために奔走していて、おばあちゃん想いの素敵な孫だと思いました。
秘書孫とホテルマン達のやりとりや、一流ホテル内での情報共有に一流のおもてなし。
夢のような光景が目の前に広がっているようでした。
個人的に、ホテルのアフタヌーンティーに挑戦してみたいです。
つよつよ遺伝子で、自己肯定感が高く、自分をお姫様のように扱う祖母姫は、
自信がなく、自己肯定感が低い秘書孫に「自分でも気になるのなら努力をした方がいい」と諭します。
しかし、旅行の終盤で「しなくてもいい」と言い放ちます。
私も秘書孫のように「なんで?」と思ってしまいました。
その理由がステキなんです。
秘書孫は頭も良くて英語もできて、男性と渡り合えるほどのスペックを持っている。
顔も悪い方ではない。
それならば、化粧なんて必要ないならしなくていい。
自信がないからって自分を卑下するのは違う。
自分の価値を低く見積りすぎず、いつでもそのときの最高の自分であるよう努力をする。
その上で、堂々と胸を張り、相手も尊敬してお相手をする。
努力も自信をつけることも、自分のためにすることなのだと、本書を通して知りました。
本当、祖母姫さま、すてきです。
オススメの人
- 自己肯定感が低いと思っている人
- 自信をつけたい、自信を持ちたい人
- 面白くて、ちょっぴり泣けるエッセイが読みたい人
- イギリスの一流を本で味わいたい人
まとめ
自分に似合うものを知っていて、自分の欲望に正直な祖母姫にイライラするかな?と思って読んでいましたが、そんなことはありませんでした。
むしろ、可愛くもかっこいい祖母姫のファンになってしまいそうです。
それはきっと、筆者の筆力のなせる技だろうと推察します。
(実際に一緒に旅行したら大変なんだろうなぁ)
自己肯定感が低い人が多いという現代人。
ぜひ、祖母姫のつよつよ遺伝子と自己肯定感の高さを、本書を通して学んでほしいと思います。
勉強だと思わずに、祖母と孫の珍道中を覗き見るという感じでも全然OKです!
むしろそっちがメインかも。
ちょっと変わった旅行記をぜひご堪能あれ!
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