昔は今より男女平等だった!?今でいう女社長、女性職人が主人公の時代小説5選

時代小説って、武士の切った張ったが多くて難しそう…

とも

たしかに、武士とか幕末とかの物語が多い印象ですね

男社会の物語だと女性や初心者は読みにくいんじゃないかなぁ

とも

そういう物語が多いだけで、最近では女性主人公もたくさん出てきているんですよ!

時代小説といえば、武士同士の物語や、同心(今でいう警察のようなもの)が主人公の物語が比較的多いかと思います。
そのせいか、時代小説を読むのは男性、女性読書家層でも年齢が高いような気がしています。

そんなのもったいない!
時代小説は現代小説にはない痛快さ!男女平等が描かれる!ものも多いんです。

今回は、女主人や女性職人が主人公の時代小説を5冊ご紹介します。

目次

こんな人におすすめ

時代小説に興味があるけど、何を読んだらいいのか分からない

時代小説といえば、池波正太郎さんや鳥羽亮さんなどの武士が主人公の小説を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
武家社会がメインのお話だと、初心者の方にとっては、言葉も漢字もなかなかに難しいと思います。

現代小説に飽きたので時代小説を読んでみたい!
でもタイトルやあらすじだけじゃ分かりにくい!

そんな人にオススメです。

女性が主人公の時代小説を読んでみたい

たくさんある時代小説のなかで、女性が主人公の物語を探すのは大変です。
この記事を読めば、女性が主人公の時代小説がわかります。
その上、どのような作家さんが女性主人公の時代小説を書いているのかもわかって便利ですよ。

・時代小説が好きだけれど、男性主人公の同じ系統ばかり読んでいる
・自分は女性なので、同性が主人公の物語の方がとっつきやすいと思っている
・武家社会の硬い物語でなく、庶民の話を描いた柔らかい物語を求めている

このような方にもオススメです。

女性が主人公で、痛快な小説が好きだ

もともと小説を読むのが好きな方で、女性主人公の痛快な小説が好きだという方もいらっしゃるでしょう。
現代小説ではなく、時代小説ならではの舞台設定や状況なんかもあります。
すこし目先を変えて、女性主人公の時代小説に挑戦してみるのもありだと思います。

この記事を読んで、女性主人公の時代小説がたくさんあることを知っていただけたらと思います。

闇医者おゑん秘録帖シリーズ(あさのあつこ:著)

Amazonより

あらすじ

「闇医者おゑん」シリーズ第1巻。
子を堕ろすために、彼女のもとを訪れた女たちの心と体を診てくれる女医者・おゑんの物語。

竹林に囲まれた屋敷に住むおゑんのもとに、ある日主人の子を宿したという女性が訪れる。
子を堕ろして欲しいというが、おゑんは首を縦に振らない。

闇医者として生計を立てている彼女は、なぜすぐに子を堕ろしてくれないのか。
おゑんの秘められた過去とは・・・。

現在4巻まで刊行中(2024年4月現在)

感想

おゑんさんの生き様や考え方に痺れました。

妾を囲っていた邸宅を貸してもらって、そこで闇医者をしているという設定から面白い!

それに、「堕ろして欲しい」と頼む相手に対して、
本当はどうしたいのかを聞いてくれる優しさや、自分で決めるよう迫る厳しさが、これから自分の子供を産んで育てるという覚悟を持たせる意味もあるのだろうと思える。

子供を宿しているのは女性のはずなのに、
奉公人の立場上、主人に手を出されて拒めなかった弱い立場のはずなのに、
彼女たちは自分が悪いと自分を責めて、主人夫婦の言いなりになるしかない。

そこをおゑんさんが、厳しくも優しい言葉で諭して、話してくれることで、じょじょに自分の意思を持ち始める女性たちの姿に勇気をもらえます。

まるでカウンセラーのようだと思いました。

おもみいたします(あさのあつこ:著)

あらすじ

「我慢しなくていいんですよ」 

天才的揉み師のお梅が、
あなたの身体と心の闇まで
ほぐします。

申し込めば半年待ち。
評判のお梅の揉み治療だが、
一刻の猶予もない患者が現れた!

揉んだ人々の身体は、
全てこの指が覚えている。
身体に触れさえすれば、
いつどこで揉んだあの人だと
言い当てられる。
人に揉み治療を施すのが、お梅の生業。

■あらすじ■
頭風に苦しむお清を訪ねたお梅は
ギリギリのところまできていると
感じ取る。
揉みはじめると、
お清の身体に潜む「淀み」を感じ――。
彼女を悩ませるその原因とは?

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感想

九十九藤(西條奈加:著)

あらすじ

江戸の人材派遣業、口入屋・冬屋の女主人となったお藤。

「商いは人で決まる」が口癖の祖母に口入稼業を仕込まれ育ったが、実家の不幸が重なり天涯孤独の身に。義母から女衒に売られるも必死に逃げ、江戸で生きてきた。

お藤は、払いが悪く悶着の多い武家が相手の商いで傾いた店を救うため、ある勝負に打って出る。

取り扱う客を商家に絞り、男の奉公人志願者に徹底した家事指南を行い、大店へ送り込む。

前代未聞の大転換は周囲の猛反発を呼んでしまう。

そんな折、お藤は女衒から逃げていた時に助けてくれたお武家によく似た男と出会う。男は黒羽の百蔵と呼ばれ、江戸中の武家奉公人の上に立つ恐ろしい人物だった。

冬屋の挑戦がようやく成果をあげはじめた頃、その好調ぶりを忌々しく思う人宿組合の顔役たちは百蔵を相談役に据え、冬屋潰しを目論む。

お藤たちは真っ向勝負を挑むが――。

人は何のために働くのか、仕事の喜びとは何かを問い直す渾身の長編時代小説。

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感想

ある傾きかけている口入れ屋・冬屋の立て直しに訪れたお藤。
そこの奉公人も番頭も、読んでいて「なんだこいつら!」と思わず思ってしまうようなプライドの高さ。

女だからと侮られるお藤だけど、それをほとんど無視するような形で、自分の思ったように商売を変えていく姿が面白くもスカッとするんです。

せっかく冬屋の人々となんとかやっていたのに、他の店から嫉妬されて一悶着・・・。
でも彼女は逃げることなくちゃんと始末をつけるんですよね。
そこがかっこいい!

あらすじにもあったように、この本はただの時代小説じゃなくて、
働くってなんだろう。仕事ってなんだろうって思っている人に読んで欲しいお仕事小説になっています。

焼け野の雉(梶よう子:著)

あらすじ

わけありの夫・羽吉と離縁し、飼鳥屋を営む女主人のおけい。

九官鳥・月丸との暮らしも順調なある日おけいは大火に見舞われる。

何とか逃げ延びお救い小屋での生活が始まるが……。

江戸に生きる人たちを鮮やかに活写し、幸せとはなにかを問う傑作長編小説。

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感想

わけありの夫のワケが複雑というか、すごかった!
仕事で行った出先で体調を崩して記憶喪失になり、そこで世話をしてくれた女性を恋仲になり結婚。記憶を取り戻した時には時すでに遅し。
すごいな・・・。

そんな夫が営んでいた飼鳥屋を1人で切り盛りしているおけいは、いろんな人々の優しさの中で元気に立ち働いている。
けなげだなーと思って読んでいるのも束の間、おけいの店は大火に見舞われて、周りの家ともども焼けてしまう。
それでも鳥たちも一緒につれて逃げることができたのは幸いなことだと思った。

彼女が身を寄せたお寺やおすくい小屋でのできごとは、現代でもありえそうだと思った。
おけいが昔働いていたお茶屋で一緒だったお品から受けたイジワルや嫌味。
彼女が他の人の手助けで助けてもらった鳥たちに対する人々の態度の変化。

人は余裕がないと、他人のちょっとしたことを妬んだり、羨んだりして貶めようとするんだと嫌な気持ちにもなった。

でも、おけいはそんないろんなことを通して、自分はたくさんの人に支えてもらっていたことを知り、自立とは1人で立つことではなく、誰かに頼ることだと思い知る。
この場面は、私自身の心にも深く刺さった。

なかなか人に頼ることが難しい今、頼り頼られて生きることが自立の一歩だと改めて感じました。

時代小説アンソロジー てしごと

あらすじ

人気女性作家による時代小説競演
己の腕で生き抜くおんな職人の矜持


真葛……京都の幕府直轄御薬園で働く女薬師
沙奈……亡き母の仕込みを継ぐ色酢の麴造り職人
おりん……木肌の魅力に惹かれ根付職人に弟子入り
蕗……妹と峠の茶屋を切り盛りするそば打ち職人
市子……その身に霊を降ろす「口寄せ」を使う巫女
梅……身体のみならず心の凝りもときほぐす揉み屋

当代の人気女性作家が、己の生きる道を自らの
腕と業で切り開く女性職人の凛々しさを巧みな
筆致で活写した、傑作時代小説アンソロジー。

春雀二羽 澤田瞳子
藍の襷 志川節子
掌中ノ天 奥山景布子
姉妹茶屋 西條奈加
浮かれの蝶 小松エメル
おもみいたします あさのあつこ

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「春雀二羽」 澤田瞳子

御薬園で兄と薬を作っている真葛
彼女はある日、兄から部屋に来るように言われる。

彼女が行くと、そこには神経質な兄の仕事仲間がいて、少し複雑な相談事を持ちかけてくる。

藍の襷 志川節子

舞台は薩摩藩(現在の鹿児島県)。
母と祖父母と暮らしている沙奈は、色酢を作って生計を立てている。

病がちな母が亡くなり、沙奈が代わりに色酢作りに精を出していたあるとき、
沙奈は薬屋だという男性と親しくなる。

掌中ノ天 奥山景布子

伊勢にある茶屋・菊屋の看板娘のおりん
彼女は兄嫁に嫌味を言われながらも、兄夫婦と一緒に茶屋で働いている。

おりんは、信吾という職人見習いが京都から帰ってくるのを待っているのである。

ある日、茶屋を訪れた男性から可愛い仕掛けのある根付をもらったおりん。
その仕掛けを知りたいと、職人のもとに通うようになる。

姉妹茶屋 西條奈加

秩父にある「しまい屋」は、祖父がやっていた蕎麦屋を姉・蕗と妹・亥が2人で営んでいる。
姉には許嫁がおり、もうすぐ出稼ぎをしていた江戸から帰ってくることになっている。

しかし平穏な日々を送る2人のそばに、不穏な気配が漂っていた・・・。

浮かれの蝶 小松エメル

自身のことを巫女だと名乗る市子。
その市子のトリックを暴いてやろうとする寅吉。

はたして市子は本物の巫女なのか。
それとも、村中に人を騙す詐欺師なのか。

おもみいたします あさのあつこ

盲目の揉み師であるお梅。人の目には大きな白い犬に見える十丸。
1人と1匹は必ず一緒に依頼人の元へと向かう。

大きな店の主人である松田屋喜平の妻から呼ばれ、喜平の施術をすることになる。
彼の体にあるコリの原因はなんなのか。

感想

全部で6作品、6人の女性作家による短編小説集。
あさのあつこさんの「おもみいたします」は、今回紹介した『おもみいたします』内に書かれた作品の一つです。

どの作品も、自分の技術で生きようとする女性が生き生きと描かれていましたが、私はその中でも奥山景布子さん「掌中ノ天」が心に残りました。

栗の根付の描写がなんとも可愛らしいのです。
その後のおりんや兄弟子、師匠の作る根付も面白い。

根付に対する思い入れや願いがとてもステキだと思いました。

思わず根付について調べてみたいと思わされました。

そして、この作品だけは他の作品と違ってごく普通の女性が、ちょっとしたきっかけで職人への道を歩みたいと望んだ女性の話です。
そのため、女性が職人になりたいと望み、それに対して周囲がどんな反応を示すかというところも書かれています。
そこが面白いと感じました。

内容、職種だけでなく、文体もそれぞれ異なった6作品なので、ご自身にあった作家が見つかるかもしれません。

おわりに

闇医者、もみ師、口入屋、飼鳥屋、そしてアンソロジー内にいる数々の職人たち。

今でも男性が主流の職人業がありますが、江戸時代でも女性はしないとされているような職種もあったのだと思います。

寿命、結婚観に対する考え方もちがうので、今と比較するのは違うのかもしれませんが、
江戸時代は今と比べてなんだか自由に感じてしまうのは私の贔屓目でしょうか。

今回紹介した作品以外にも、女性作家による女性が主人公の時代小説がありますので、ぜひ読んでみてください。

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