皆さんは、周囲からこんな言葉、言われたことありません?
子育ては、お母さんがしっかりしないとね!
旦那さんが浮気するのは、奥さんにも原因があったんじゃない?
まだ、結婚しないの?
なんだかモヤモヤするなぁ。
正しいのかもしれないけど、釈然としない
ここまでハッキリとは言われないにしても、そんな空気感を感じ取ってモヤモヤしている人に絶対読んでほしい小説をご紹介します。
オススメの人
・結婚や妊娠、出産…周囲の当たり前にモヤモヤしてる人
・結婚制度に対して悩みを抱えている人
・家族という制度にモヤモヤしている人
このような人にオススメの記事ですので、最後まで読んでいってください。
『消滅世界』
あらすじ
セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその”正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する……日本の未来を予言する傑作長編。
「『消滅世界』文庫版あらすじ」より
『消滅世界』のテーマ
解説まで読んで、私が感じた本書のテーマを書いていきます。
本書のテーマは、大きく2つに分けられると思います。
恋愛・異性愛主義の崩壊
本書の舞台は、結婚制度が崩壊…というよりもかなり進んだ社会であることです。
さらに、夫婦は家族なのだから性行為や恋愛感情は別の人と、という考えが当たり前になっています。よくよく考えると、それはかなり合理的なんじゃないかなと読んでいるうちに納得させられてしまいます。
本書の中では、主人公たちはヒトではなく漫画の中の登場人物やアニメのキャラクターに恋をします。
二次元が恋愛対象なのが当たり前のせいか、異性愛とか同性愛とかそんな小さなことは誰も考えなくなっています。
それが「正常」であり、雨音の母のやり方が原始的なやり方なのです。
私たちが今生活している世界と、本書内の世界が緩やかに繋がっている描写が、より設定がリアルさを増しています。
妊娠・子育ての常識の崩壊
また、本書は異性愛主義の普通は変化することだと伝えているように思います。
本作品は、
女性からは「ユートピア小説」、男性からは「ディストピア小説」と言われているとか…。
その理由は、本書の後半で登場する実験都市・楽園の制度にあると考えられます。
楽園では、子どもは全て「子供ちゃん」と呼ばれ、大人は全て「おかあさん」と呼ばれます。
妊娠・出産も都市に選ばれた男女が保護されながら行います。
ここに、女性は理想を抱くのではないかと考えられます。
本書の世界では妊娠も子育ても、女性だけが行う必要がないのです!
本書では恋愛感情や性欲は、家の外へと押しやられ、結婚して一緒に暮らす必要性がなくなっていきます。
現代の「当たり前」をことごとく粉砕していくさまに、不思議な爽快感を抱き、その世界に理想を見てしまいます。
感想
私にとって、理想的な世界を本書の中にみました。
夫婦間は家族であるがゆえに恋愛対象ではない、だから不倫や浮気という概念が存在しないことに衝撃を受けました。
しかし、家の外に恋人を作り、家の中ではパートナーとして共に暮らすことができれば、誰も不幸にならないのではないかと思いました。
私が特に理想だと思ったのは、楽園での実験です。
家の中に性的なことを持ち込むことなく、男女共に抽選で通れば妊娠を試みることができるのです。
生まれた子どもを皆で育てることも素敵だなと思いました。
ニュースでモヤモヤ解消
こちらのニュースを見て、村田さんの世界が現実になるのではないか!と密かに希望を持ちました。
これが男性にも移植ができるようになれば…なんて妄想をしてしまいました。
高齢出産という言葉もなくなるでしょうし、【女は子供を産む機械】とかいう政治家もいなくなるでしょうし、女性にとっても男性にとってもメリットが多い気がします。(個人的な意見ですが……。)
異性同士だけじゃなくて、同性同士の結婚でも、自分達の子どもが育てられますしね!
まとめ
『消滅世界』は村田沙耶香さんの異性愛者主義に対する闘いだと解説で述べられていました。
人々はキャラクターに恋をするし、それが当たり前になっている世界では、同性愛者とか異性愛者とか、そういうことが問題視されません。
私にとって『消滅世界』は、結婚や妊娠、子育てに至るまでの今の常識を疑問視させる小説だと思いました。
将来、今の常識がなくなる世界がくるんだろうなぁと思える作品でした。
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コメント
コメント一覧 (2件)
記事に惹き込まれました
今の世の中の当たり前が当たり前でなくなった世界
もちろんこの世界にも理不尽は起こるのでしょうけど、それを考えるのも面白いですね!
コメントありがとうございますm(__)m
いろいろと考えさせられる小説ですよね。